ご挨拶


教授 高塚 尚和

本邦では、力士暴行事件、婚活詐欺事件、湯沸器死亡事故等の見逃し等を契機に、死因究明体制を強化する気運が高まり、平成23年3月に発生した東日本大震災では身元確認が困難を極めたことから身元確認体制を整備する必要性が指摘されています。また、人口高齢化による死亡者数の増加及びライフスタイルの多様化等による孤独死の増加の結果、警察における死体取扱数が飛躍的に増加しています。このような状況を踏まえ、我が国では、平成24年9月に、「死因究明等の推進に関する法律」が施行され、平成26年6月には、「死因究明等推進計画」が閣議決定されました。しかし、本邦では、死因究明に従事する医師が約200人余、法歯科学を専門とする歯科医師が約20人余と非常に不足しており、人材の養成が喫緊の課題となっています。
本学では、平成29年7月、法医学分野内に設置されていた「死因究明センター」を改組して、大学院医歯学総合研究科内に、死因究明に係る人材養成及び高度な死因究明を可能とする「死因究明教育センター」を設置しました。死因究明では、解剖検査のみならず、薬毒物生化学検査、画像検査、歯科検査が必要であり、さらに子ども虐待、ドメスティック・バイオレンス等では生体診断(キズの診断)が重要であることから、本センターは、「法医解剖部門」、「薬毒物生化学部門」、「画像診断部門」、「社会法医学部門」、「歯科法医学部門」の5部門を擁しています。さらに、死因究明と密接な関連がある法律、災害医療、認知症等の神経疾患を学べるプログラムも準備しています。
本死因究明教育センターは、県内外の大学との連携、新潟県警刑事部科学捜査研究所、新潟県医師会、新潟県歯科医師会、地域基幹病院等と緊密に連携して、新潟県のみならず、環日本海ラインにおけるコアセンター、さらに本邦における中核施設を目指しております。ご支援、ご理解を賜りますようどうかよろしくお願い申し上げます。

沿革

平成28年12月1日
法医学分野内に死因究明センターを設置
平成29年7月1日
死因究明センターを改組し、医歯学総合研究科内に死因究明教育センターを設置

アクセス

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